2020年の東京オリンピック開催に向けて、官民でいろいろな施策の検討をやっているのを耳に挟むのが多いわけですが、そんな中でも政府が掲げ外国人留学生の倍増計画がけっこうやばいと言う話を聞き、どんなものなんかまとめてみました。
前提として、日本国政府は東京五輪開催の2020年までに、外国人留学生数を30万人に倍増する計画を出しています。
ちなみに2012年時点で、留学生の数は13万7000人ほど。グラフにしてみると下のような形。
![]() |
http://www.jasso.go.jp/statistics/intl_student/documents/data12.pdfより引用 |
では、直近の微減の内訳はどうでしょうか。国別で見ると下記のようになります。
![]() |
http://www.jasso.go.jp/statistics/intl_student/data12.htmlより引用 |
もともと日本への留学生は中国・韓国が多い訳ですが、両国からの留学生は前年比で減少しています。
震災の影響も考えられますが、韓国からの留学生が5%と一番減っていることから、韓国との関係性の悪化による影響が大きいのでは?と推測できます。
かたや海外に目を向けてみるとどうでしょう。日本の留学生が減っているように海外の留学生も減少しているのでしょうか。
![]() |
http://www.jasso.go.jp/about/documents/201405etokazuhiro.pdfより引用 |
上記にグラフを見るとそうとも言えなさそうです。留学生受け入れトップのアメリカはゆるやなかがらも右肩上がり。そして最近元気な中国が受入数を急激に伸ばしている現状があります。
急激な経済成長をしている中国へ語学の習得や今後の仕事などの観点で留学が増えているのは確かに納得できますが、一方で日本への留学目的は何が多いのかも再考する必要がありそうです。
![]() |
http://www5.cao.go.jp/koukyo/kanmin/kaisai/2009/1210/091210-3-2-24.pdfより引用 |
日本への留学理由は千差万別にはなるかと思いますが、日本への留学理由としては、「日本社会に興味があり、日本で生活したかった」「日本語・日本文化を勉強したかった」という理由が大半を占めており、”日本へのあこがれ・関心”が強い人が留学にきていることが伺えます。
現在、総務省がクールジャパン政策を打ち出し、日本の魅力を海外に発信することを促進していますが、そういった活動もやはり、日本へのあこがれを醸成するためにやっているのかもしれませんね。
一方で日本の文化・クリエイティブを世界に発信するだけで本当に外国人留学生が伸びるという議論もあることも推測できます。
留学生受け入れトップのアメリカ、そして受け入れ数を急激に伸ばす中国に共通しているのはやはり「国としての経済力」かと思います。
日本へ語格や文化を学びにくる留学生をふやすだけでなく、日本の企業やマーケットに関心のある留学生の獲得施策をしていかなくては、政府の掲げる外国人留学生30万人という数字にはほど遠いと考えられるのではないでしょうか。
「日本初でグローバルに活躍する組織と個人」を作っていくことが、官民で必要なのかもしれません。